の続き。
新竹市街地をいったん離れ、台鉄に乗って移動します。
日本統治時代の木造駅舎が残る香山車站へ
新竹16:53発嘉義行区間車に乗車。ちょうど学校の下校時間帯で列車は混んでいた。しかし、この光景本当に日本そのまんまだよなぁ…。
10分ほど乗って2駅目の香山車站で下車。
この駅は、1927年に建てられた日本統治時代の木造駅舎が今も現役で使われている。新竹から近いので立ち寄ってみた。
想像以上に日本様式の建物にびっくり。日本のどこかのローカル線の駅に降り立ったみたいだ。
駅長事務室も、駅の待合室も、日本の雰囲気が色濃く残る。今や、このような木造駅舎は日本だってそんなに見かけることは少なくなった。それが台湾では未だ現役なのは本当に頭が下がる。
ただここは新竹郊外ということもあり、列車は比較的多くやってくるし、乗客も多い。悠遊カードの簡易改札はあるし、携帯の充電器などもあって今時の設備にアップデートされながら、木造駅舎を大事に使っている様は、今の日本人こそ見習わなければならない気がするなぁ。
駅前にはこじんまりとしたロータリーがあり、バイクや車が行き来する。これも日本の駅みたいだ。
惜しむらくは駅舎からホームへ向かう跨線橋がどうアングルを工夫しても入ってしまうことであるが、それを抜きにしても素晴らしい駅舎だった。
香山湿地の夕暮れを愉しむ
さて、せっかく香山駅に来たので周辺をちょっと散策でもしてみたい。
調べてみると、このあたりは「香山湿地」と言って遠浅の海が広がり、夕日の名所となっているそうだ。
台湾で夕日の名所と言えば台北近郊の淡水、あるいは台湾のウユニ塩湖と名高い台中近郊の高美湿地が有名であるが、香山湿地もなかなかの絶景が楽しめるみたいだ。
調べてみると、今日5月2日は日没が18時25分、その頃は干潮と満潮の合間くらい。今は17時過ぎなので、ちょうど夕暮れの景色が楽しめそうだ。
香山駅から10分ちょっと歩けば港があり、桟橋から湿地を眺めることができるのだが、北に2キロほど行ったところにある香山湿地の「賞蟹歩道」と呼ばれる遊歩道のあたりからの景色が素晴らしく、台湾のメディアにも取り上げられたりしているらしい。
(なお、googleマップを見ると海岸線がかなり遠くにあるように見えるが、これは干潮時の陸地を表したものであり、航空写真を見ればわかるように実際の海岸線は道路に沿っている)
2キロも離れているとさすがに歩くのは大変だが、今台湾は大変なサイクリングブームらしく、レンタサイクルのYouBikeというサービスがそこら中で展開している。
ここ香山駅にも自転車が置かれていたので、これを借りて見に行くことにした。
自転車に乗って北に向かい、香山天后宮に立ち寄る。こじんまりとした廟だ。
ここ天后宮は1661年創建の台湾で古い媽祖廟の1つとされている歴史ある場所だ。現在の廟は大正時代に再建されたものだそうだが、人もほとんどいない夕方の海沿いに建つ廟の静かな雰囲気は実に素晴らしい。
ここからは海沿いの道路沿いに進む。高速道路みたいな道だが、普通の道路である。台湾の道路は右側通行なので自転車とはいえ進む向きには注意せねばならない。
10分ほどで風情海岸との碑が掲げられた展望スポットに到着。
今日の台湾は曇りがちな天気であったが、おだやかで遠浅の海岸に、夕日が雲の合間から時々顔を出し、非常に幻想的な雰囲気を出していた。これは素晴らしいところに来た。
さらに北側の賞蟹歩道へ向かう。
遊歩道からは干潮時にはカニなど自然の生物を間近に観察できるみたいだ。
のぞき込むと…おお、いましたいました。というか、予想以上にうじゃうじゃ動いてました(笑)。ダメな人はダメそうな景色かも。
遠くには風力発電の風車が見えた。新竹は風の強い町で有名だそうだ。
遊歩道の一番先端から夕暮れを眺める。今朝東京を出て、夕方台湾の片田舎で夕暮れを眺める。本当に贅沢なひと時だ。来て良かった。
ここ香山湿地はほとんど日本では知られてないと思われるが、新竹とともにもっと注目を浴びても良い気がする。高美湿地とか、台中から交通の便が悪いところに行くくらいならば、場所を選ばなければ駅から歩いて見に行けるこの湿地はおすすめです。
YouBike返却で大トラブル
さて、満足したので18時過ぎの列車で新竹に戻るべく、香山駅に戻る。レンタサイクル代は1時間だと30元程度とお得である。
香山駅に戻り、あとは自転車を返すだけであるが、このブログによると、YouBikeは返す時のロックにコツがいるらしく、うまくいかないトラブルが頻発してるそうだ。
まあ、勢いよくガチャってロックさせれば良いんでしょ、と思ったら…
え、9番は…異常!?異常の場合は…サポートセンターに電話しろ???
さて困った。今回悠遊カードのユーザ登録をせずクレジットカードで2000元のデポジットを払って借りてるので、このまま放置して帰ったら2000元が引き落とされてしまう(泣)。
なのでサポートセンターに電話するが、日本語など通じないのでたどたどしい英語で話すもなかなか通じず、しまいには「110(=警察、台湾は日本と同じ)にかけてサポートを受けろ」と突き放したことを言う始末…。香山駅の駅員や駅にいた人に声をかけてみるが、何しろ日本語も英語も通じないので話が成り立たない。
困ったので警察に電話し、「あなたは何を望んでいるのか?」とか言われながらもいいから来てくれ、とお願いして、なかなか来ないのでもう1度電話して45分くらい待たされてパトカーに来てもらった。で、サポートセンターに電話してもらって理由を説明してもらって、18時に戻したということでそこまでの料金を払えばよい、と話がついたようだった。
その後クレジットカードの明細を毎日気にしてたのだが、ちゃんと1時間分の利用料だけが引き落とされていたので一安心である。
今思えば、現地でロックを外す作業とかをしないのであれば、警察など呼ばずにYouBikeのサポートセンターにメールでも送っておけば良かったかなと思うが、この時はマジで必死でしたわ。ホント、新竹の警察の皆様にはご迷惑をおかけしました…。
一つ困ったのは、今回ahamoのローミングを使っていたのだが、ahamoだと現地の携帯の番号がわからない。YouBikeを悠遊カードで借りるには台湾の携帯番号が必要だし、警察と連絡を取るにも連絡先を伝えられない。今回何の手続きもせず使えたのは便利なのだけど、現地の番号がないのは不便だよなぁ…。
そんなわけで香山駅を出たのは予定より1時間遅れた19時過ぎ。とんだトラブルで時間を使ってしまいましたわ…。
鼎泰豊の小籠包をテイクアウトし、夜の新竹市街を散策
新竹に着いたのは19時20分。新竹に着いたときに20:18発の列車の指定券を買っておいたので、あまり時間がない。
新竹駅舎はライトアップされて実に美しかった。あんなトラブルなくじっくりその姿を見たかった…。
本当はここ新竹で鼎泰豊に行き、小籠包を食べようと思っていた。
台北だと大混雑だろうから、新竹なら空いてるだろうと思っていたのだが、さすがにあと1時間だとなかなか厳しいかもしれない。
鼎泰豊は駅から10分ほど離れた大遠百というショッピングモールの地下にある。行ってみたが15分待ちという。1人客も3組ほどいたので、すぐ入れれば間に合うかと思っていたがちょっとここで食べるのは難しそうだ。
なので、テイクアウトすることにした。鼎泰豊は基本的に何でもテイクアウトができる。この後の列車の中で食べれば時間短縮になる。テイクアウトカウンターで注文後、10分ほど待って無事小籠包を受け取ることができた。
鼎泰豊の店員さんはさすが流ちょうな英語を話すのだが、ここ新竹の店では日本語は全く通じないようだ。さすがにここは出張客も来るだろうに、コロナ禍の分断で日本語通用率が下がってしまったのだろうか、心配である。
少し時間ができたので、昼に訪れた新竹城隍廟、新竹市政府、消防署、東門などのスポットを再訪。見事にライトアップされた景色を改めて楽しむ。
普悠瑪号で板橋へ
新竹20:18発の自強号花蓮行は普悠瑪号だった。
日本製の振り子車両である普悠瑪号は台湾でも人気の高い列車で、今日指定券を買ったとき窓側は指定できず、車内はほぼ満席だった。まあもう夜なので、窓側ではなくても問題はない。
早速ここで鼎泰豊の小籠包を食べる。さすがに小一時間も経ってしまうとすっかり冷めてしまっていたが、それでも美味しい。さすが鼎泰豊である。トラブル後だったこともありこの味が身に沁みました…。
ただ、10個入りで250元とまあそれなりの値段はしましたが…。
普悠瑪号は他の自強号よりも速く、新竹から台北までは1時間で着いてしまう。これだけ早いのであれば、台湾新幹線は乗らなくても十分だね。
しかも今回はその手前、21:07着の板橋で下車する。わずか50分の旅であった。
今日はここ板橋で宿泊します。