の続き。
祇園祭のハイライトは山鉾巡行という言い回しが良くされているが、これは必ずしも正しくない。八坂神社の神事である神幸祭や還幸祭の神輿渡御が本来のハイライトであろう。
と言いながら、当の自分がそれを知ったのはつい最近なのであるが、そんなわけで、今日東京に帰らないといけないのだが、神幸祭の神輿渡御はしっかり見ておきたい。
八坂神社石段下で待ち構える
神幸祭に関しては本やネットを見ても山鉾巡行に比べてどこか見どころなのか、何時ころ通過するのか情報が多くないのだが、石段下で中御座、東御座、西御座の3基揃った出発式後の差し上げ、差し回しが一番の見どころらしい。この時は3基の違いすらわかってなかったが、とりあえず17時過ぎに八坂神社に向かった。
西楼門の石段は既に人で埋まっており、歩道は立ち止まらないようにとアナウンスが繰り返されていたが、歩道の奥の石垣前にスペースがあったのでそこで待機する。夕方ではあるが西日が強く差し込み、まだまだ暑かった。
小一時間が過ぎ18時近くになると東山通や四条通が通行止めとなり、一気に観客が集まり大賑わいだ。
まず宮本組の神宝奉持列、そして久世駒形稚児を見送る。というか、お稚児さんを正面から撮影しそびれたあたり、この時は全く知識がなかったのをひたすら反省である。そもそも、神幸祭が南楼門から出てくることすらわかってなかった。お恥ずかしい限りだ。
昨日まいまい京都のツアーで初めて知った豊園泉正寺榊を見送ると、いよいよ神輿の登場です。
勇壮な神輿の差し上げ、差し回しに大感動
ホイット、ホイットの掛け声とともに、中御座の神輿がやってきた!
目の前での勇壮な神輿の練り歩き。この時は神輿の掛け声がホイットホイットなことも、手締めがヨーサノ(またはヨイットセーノ)なことすら知らなかったのだが、この迫力にとにかく圧倒です。
続いて東御座の子供神輿。子供たちのカワイイ掛け声に場が和む。
続いて東御座、西御座とやってきた。西楼門の北側にいたので、目の前には東御座が一番近い位置に来るようだ。3基担ぎ手が石段下に揃うとそれはそれで豪快だ。
八坂神社宮司、京都市長、京都府知事の挨拶、お祓い、手締めを終えると、いよいよ神輿が動き出す。
まーわせ!の掛け声とともに、2000人も上る輿丁が神輿を高々と差し上げ、ぐるぐると差し回していく。そして、ホイットホイットの掛け声が響き渡る。
この豪快さ、勇壮さに本当に涙がでるほど感動しました。こんな素晴らしい祭りがあるとは、さすが祇園祭である。
目の前の東御座を率いる四若神輿会は、木下幹事長の掛け声に率いられた動きが特に洗練されているように見えた。一気にファンになりました。
20分ほどの差し上げ、差し回しを終え、3基の神輿はそれぞれのルートで四条寺町の御旅社に向かって神輿を進めていく。神輿渡御はこれからが本番なのだが、残念ながらタイムアップ。これで自分の祇園祭はおしまいである。
人混みに紛れながら撮った動画です。素晴らしき神輿渡御の雰囲気が少しでも伝われば幸いです。
ひかり522号で慌ただしく帰京
さて、神輿渡御の鑑賞から離脱したは良いが、八坂神社の石段下からどうやって帰るか。普段であれば祇園のバス停からバスに乗ればよいがもちろん迂回運行でバスは来ない。四条河原町まで行けばバスも電車もあるが、東山通は神輿渡御で横断すらできなさそうだ。これは困ったな…。
一瞬今日帰れないかと思ってしまったが、結局、一度円山公園に入り、知恩院の三門前を通って神宮道を北上し、地下鉄東西線の東山駅まで歩いてそこから地下鉄で京都駅に向かった。普段は存在感のない地下鉄だけど、祇園祭の時は実に重宝したわ。
神宮道は先ほどまでの喧騒はどこへやら、普段着の京都の顔を見せていた。
帰りは京都20:03発のひかり522号。今年春の改正で誕生した、新大阪~東京間2時間39分、京都~東京間2時間24分という、ひかり史上最速列車である。遅いのぞみが2時間15分かかるので、たった9分しか差がない。今回神幸祭の出発式まで見届けて帰るにはちょうど都合が良く、我ながら良い行程であった。
そしてグリーンプログラムで貯まったポイントでグリーン車利用。疲れた体にグリーン車は有難い限りだ。
ただ、今年の秋のエクスプレス予約の改悪を考えると、これ以上有料会員で居続ける必要もない気がするので、ポイントでグリーン車乗るのは今回が最後かも。
上越新幹線の遅れで5分ほど遅れて東京着。家には23時過ぎに着いた。3時間前に京都にいたのが信じられないくらいだ。明日から仕事か…。
神幸祭・還幸祭の神輿渡御あっての祇園祭
今回の祇園祭で一番印象的だったのは、実は山鉾巡行よりも神輿渡御だった。
帰ってからネットの記事や宮本組にフォーカスを当てた八坂神社の神事に一番詳しい平凡社の「祇園の祇園祭」を読み漁り、ネットでも神輿渡御の動画を見まくった。
山鉾巡行や宵山だけが祇園祭ではない。山鉾あっての神輿、神輿あっての山鉾であり、片方だけでは祇園祭を見たことにはならないと強く思った。残念ながら今回は最後まで見届けられなかったけど、次回観る機会があれば、神幸祭ならば御旅社まで、還幸祭なら八坂神社まで、絶対もう1泊して最後まで見届けたい。
そして、今年は残念ながら24日の後祭が仕事入ってしまい行けず、一番最初に祇園祭に見に行こうと思ったきっかけである、昨年196年ぶりに復活した鷹山が見れなかった。次、祇園祭が土日絡むのは2027年まで待たないといけず、来年はド平日期間なのだが、なんとかして来年ワーケーションと絡めて祇園祭に行きたい。というか、もう来年、とりあえず後祭期間のホテルは取りました(笑)。来年は仕事入りませんように…。
本当は、10日の神輿洗も、28日の神輿洗も観たいのだが、さすがにそこまで何度も京都まで往復するのはしんどい。もう、7月は京都に住むか。暑いけど…。
多くの京都人同様、自分も11か月後の祇園祭を楽しみに、日々過ごすことにしたいと思います。
(おわり)