行き先はどこでもいいのだが、久々に相模湾を眺めたかったので、熱海まで行くことにした。
小田原??熱海間は東海道線、いや日本の鉄道の中でも屈指の景勝路線である。
恐らく、113系に乗ってここを通るのは今日が最後かもしれない。
東京駅に10時に着き、10:23発の伊東行に乗る。113系の11両編成である。
今日は3連休の最終日だし、後続の快速アクティーに平塚で抜かれるので、行楽客の姿は少なくすいていた。
だったらこっちの車両のほうがいいと思うけど…。
東京をゆっくりと出発。なんだかとっても旅行気分である。
横浜、大船と過ぎ、平塚くらいまでは住宅や工場が密集しているが、大磯あたりから山や畑が見えてきて鄙びてくる。
そして国府津の手前では海が見えてきた。
今日は雨こそ降ってないが、台風の影響で海はしけているようだ。
小田原を発車し、次の早川を越えると、いよいよ相模湾を一望できる。
高台からの眺めはとても気分が良い。
堪能しているうちに列車は根府川駅に着いた。
まっすぐ行くのももったいないので、ここで途中下車する。
実はここで(ここでなくても真鶴でも湯河原でもいいのだが)途中下車すると、熱海までまっすぐ行くより安いというのもある。
根府川駅は東海道線屈指のローカル駅で、木造の駅舎が歴史を感じさせる。
無人駅とは聞いていたが本当に無人であった。委託の駅員すらいないのね。
でも簡易Suica読み取り機があるのでSuicaでの乗り降りはできる。
駅前は国道の旧道沿いに家が何軒かあるだけで、何もない。のんびりした空気が漂う。
実はヒルトン小田原の最寄り駅なのだが、そんな雰囲気はちっともしなかった。
ここは海を間近に望める駅として、また鉄道ファンには今は防風壁ができてしまい価値がなくなってしまったが、白糸川橋梁という名撮影ポイントの最寄り駅として有名である。
そんなわけで、海辺の散策でもしようかと思ったのだが、着くまで知らなかったのだがこの駅は山側に駅舎がある。
海に行くには結構な距離があるようだし、高低差もかなりある。
そんなわけで、海はしけていることもあり、海に行くのはやめることにした。
ただ、すぐ来る次の熱海行は、所定は113系のはずなのに、今日に限ってE231系であった。
その次は11両なので確実に113系であるが、25分も後である。
仕方がないので何もない駅でぼけーっと過ごした。
まあ、こんなときもあっていいかなあと思う。
ようやく後続の12:39発熱海行が来たのでこれに乗り、熱海駅には12:55に到着。
今日は3連休最終日ということで行楽帰りの客が多くそれなりに華やいだ雰囲気があった。
さて、熱海といえば温泉である。
駅前にも公衆浴場はあるし、日帰りでホテルに行くのも良い。
ただ、本格的に温泉に入ると温泉好きな嫁が激怒しそうなので…向かった先はここ。
…といっても、駅前なんだけど、足湯である。
徳川家康が熱海の温泉に逗留したのが1604年らしいのだが、その400周年を祝って最近できたらしい。
もちろん無料である。多くの人でにぎわっていた。
ということで私も早速入る。
15分近く入っていたのだが、全身があったまって、温泉に入ったかのような気分になる。
そして足はうそみたいに軽くなった。
また熱海の温泉は無味無臭なのがありがたい。
ということで、かなり満足のいく足湯であった。
もうちょっと広ければなおいいんだけど…まあそれは望みすぎですね。
足湯の前には間欠泉がある。着いて早々プシューと音を立てて噴出してきたのでおお、ラッキー、と思ったのだが、実は4分おきに噴出すらしい…。
さて、曲がりなりにも温泉に入ったことで、熱海の目的は達成されたので、戻ることにする。
本当はもっとゆっくりしたいのだがさすがに家でやることもいろいろあるので…。
結局、熱海には結局1円もお金を落としませんでした。熱海温泉協会さん、足湯だけつかってすみません…。
帰りは14:00発のアクティーに乗るつもりであったが、13:53発の東京行も113系であった。
14:00発は11両だが13:53発は15両だし、しかも国府津で抜かされるのですいているはず。
東京駅到着は13分しか違わないので、各駅で帰ることにする。
結局私の乗った14号車は小田原まで貸切であった。
帰りは窓を開けて車窓を楽しんだ。
窓を開けて電車に乗るなんて何年ぶりだろう…。
今の電車も窓は開くけど、下から上へ開けることのできる電車は、この113系がいなくなるとほぼいなくなってしまう。悲しいが仕方がない。
この区間は、学生の頃大阪方面などに、青春18きっぷを使って、有名だった大垣夜行(現:ムーンライトながら)とかで行ったときの帰り、いつも夕方通ることが多かった。
熱海でJR東の見慣れた113系に乗り換えほっとしていると、夕暮れ間近の相模湾の景色を独り占めすることができ、旅の最高のフィナーレを演出してくれたものだった。
大阪以遠へは新幹線、そして今や飛行機で行ってしまう生活になってしまったけど、できることならもう一度東海道線をのんびりたどってみたいなと思う。
ただ、2006年1月以降、ここを窓を開けて通ることは残念ながらできない。
あ、185系踊り子ならできるか…ってそうじゃないだろう>自分。
ということで、2時間弱の道のりはあっという間に過ぎ、15:46に東京駅へ到着。
短い旅は無事終わった。