たまの日記

最近は弾丸旅行ばかりです。

続・京都出張シリーズ(10):高山寺特別拝観(2021年8月)

今回の出張では朝を中心にあちこち出かける機会に恵まれたので(もちろん仕事もやってますよ!笑)、その記録を振り返ってみたい。

まずは三尾エリアの高山寺です。

世界遺産 栂尾山 高山寺 公式ホームページ

世界遺産 栂尾山 高山寺は、京都市右京区の栂尾(とがのお)にある古刹である。建永元年(1206)明恵上人が後鳥羽上皇よりその寺域を賜り、名を高山寺として再興し、鳥獣人物戯画、日本最古の茶園として知られる。

わざわざ京都市内から遠く離れた高山寺に行きたいなと思ったのは、東京国立博物館でこの春行われた特別展 「国宝 鳥獣戯画のすべて」に行ったことがきっかけである。

東京国立博物館 - 展示 日本の考古・特別展(平成館) 特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」

再開のお知らせ(2021年5月29日発表) 特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」は6月1日(火)より再開いたします。また、会期を6月20日(日)まで延長します。 開館日、開館時間、チケットの購入等についての詳細は展覧会公式サイトにてお知らせします。...

ご存じの通り緊急事態宣言の影響ですったもんだあって注目を浴びたことから、せっかくなので行ってみるかと思い会社帰りに見に行ったのだが、鳥獣戯画そのものも興味深かったが高山寺という世界遺産の寺や、明恵上人という正直あまり聞いたことのない人のことを知り、これはぜひ次に京都へ行った時には訪れたいなと思うようになった。

そんなわけで、8月一発目の出張は仕事が午後からだったので、午前、念願の高山寺へ行くことにした。

京都市バスで高雄へ

高山寺へはJRバスが市バスで市内から50分ほどかかるが、両方合わせると日中は20分おきに走っているので交通の便は悪くない。

行きは市バスに乗ることにして、四条烏丸8:25発の8系統に乗る。

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この日はちょうど京都府にも緊急事態宣言が出された週末で、週明けから主な観光スポットが休止になることになってたこともあり、観光客ぽい人は全くいなかった。まだ夏休みだというのに、京都の観光業界はどうなってしまうのだろう。

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嵯峨野エリアを過ぎ30分ほど乗ると、山が迫ってくる。とても市バスが走るエリアとは思えないが、この区間は今年3月から均一運賃エリアになり、これまで高雄止まりだった市バスも高山寺の最寄りの栂ノ尾まで延長されとても便利になった。

京都市交通局はコロナの影響で火の車なのによくそんなことするわなと思うけど。

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50分ほど乗り終点の栂ノ尾に到着。終点まで乗ってたのは自分一人だった。

清滝川の水の流れる音が心地よく、心持ち涼しさも感じる。

高山寺境内を散策

バス停からすぐ裏参道から境内には入れるが、少し道路を戻ったところにある表参道から境内に入る。

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檜の巨木や楓の青い木々がとても瑞々しい。紅葉の時期はまた見事なのだろう。 ただ所々、空が開けている場所がある。このあたりは2018年9月に台風被害を受けた場所なのだそうだ。

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階段を上った一番奥にある金堂、開山堂、そして明恵上人御廟といった建物を巡る。 高山寺奈良時代に創建された古刹とされているが、金堂や開山堂は室町時代に火災にあい、江戸時代に再建されたものだそうだ。

朝早いこともあって訪れる人も少なく、厳粛な気分になる。参道の脇を流れる水の音が心地よい。

高山寺の特別拝観へ

さて、国宝に指定されている高山寺最大の見どころ、石水院へ向かうことにする。

今回、10時からの特別拝観を予約している。

国宝鳥獣人物戯画 世界遺産 高山寺「遺香庵」特別拝観

漫画のルーツともいわれ親しまれている、「国宝 鳥獣人物戯画」を所蔵する高山寺は、栂尾山に佇む歴史ある古刹です。2018年9月の台風で、境内には約300本もの大木が倒れ、大きな被害を受けました。復旧工事を行うため、2019年にクラウドファンディングを実施。1,500人以上の温かいご支援で、2020年3月31日に、一次復旧工事が完了。2020年4月1日より、境内全域が公開されました。

値段が4000円とかなり高いのだが、評判が良いらしく、何より特別拝観という言葉に弱い(苦笑)ので、せっかく行くならと思い申し込むことにした。

この回の参加者は自分を含めて4人。ネットで簡単に申し込めるのだが、この特別拝観も緊急事態宣言中は電話予約のみ(事実上の中止)となり、ギリギリのタイミングで来ることができた。

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石水院は鎌倉時代に建てられた明恵上人の時代から唯一残る遺構で、南面の縁側に腰をおろすとからは清滝川を挟んで向山がぱっと開け、実に見事な景色を楽しむことができる。ここで特別拝観が始まるまでのんびりとしたひと時を過ごす。

中には「鳥獣人物戯画絵巻」が飾られているのだが、ここに飾られているのはレプリカである。部屋の中の文化財は写真撮影NGのようなので、一瞥するにとどめる。

特別拝観はまずここで執事から高山寺の歴史を聞くことから始まる。 鳥獣戯画で有名であり、世界遺産にもなっている高山寺であるが、決して鳥獣戯画があるから世界遺産になったわけではなく、高山寺中興の祖たる明恵上人の功績が世界遺産になったといっても過言ではない。 宗派を作らなかったので学校の教科書に出てくることは少ない明恵上人であるが、その無欲な釈迦信仰の様が多くの人から信頼され、鎌倉時代多く開かれた数々の宗派と繋がりを持つ重要な存在であり、それゆえ鳥獣戯画をはじめとする数々の文化財がここ高山寺に集まり、世界遺産に指定されたということを、恥ずかしながら執事の話を聞いて初めて知った次第である。

わずか10分ちょっとの案内ではあったが、それだけでもこの特別拝観に参加した甲斐があったなと思いました。

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続いて通常は非公開の茶室、遺香庵を見学。

こちらは昭和期に財界からの寄付で建てられたので築100年近くたつとはいえ由緒ある建物というわけではないが、周囲の石積みは、鎌倉時代のものもあるらしく、往時の財界の気概を感じる茶室が自然にごく溶け込んでいるのも納得である。

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そして注目すべきは苔むした庭の見事なこと!それもそのはず、近代日本庭園の先駆者とされる七代目小川治兵衛晩年の作庭だそうだ。

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続いて日本最古の茶畑を見学。ここ高山寺は中国・宋から輸入した茶葉を最初に植えた場所なんだそうだ。

今でも細々と育てているお茶の葉を見て、歴史の深さを感じる。 茶畑は境内からも見ることができるが、畑の中には入れないので、特別拝観だけの役得である。

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石水院へ戻り、書室で抹茶と小豆を寒天で固めた甘いお菓子(栂の月)を食べて一服。抹茶は先ほどの茶畑のものかと思ったら宇治茶だそうだ。ちと残念だが、宇治茶も元をただせばここの茶葉が宇治へ伝わったものである。

特製ご朱印鳥獣戯画のポストカードやクリアファイルをもらって1時間ちょっとの特別拝観は終わりである。

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高山寺特別拝観のまとめ

特別拝観は1時間にわたって深い案内をしてくれたので、高山寺に関する知識が深まり、とても充実したものだった。

石水院は正直何の案内もなければ鳥獣戯画のレプリカ見て終わっちゃうのではないだろうか。 高山寺の奥深さは鳥獣戯画以外のところにある。それを学ぶことができる特別拝観はとてもおすすめだと思う。

本当であれば神護寺西明寺なども見て回りたいところだが、全部見たら仕事に間に合わなくなってしまうので(汗)、帰りはJRバスに乗って市内へ戻りました。今度は紅葉の時期にまた行きたいものですな。