京都と言えば夜はすることがない場所として有名だったが、最近は訪日外国人客の増加によりナイトエンタメの必要性が叫ばれ、夜も楽しめるスポットが徐々に増えてきている。
今日の夜は視察を兼ねて夜の京都を楽しむことにしようと思う。
二条城の二の丸御殿を訪問
ゲリラ豪雨がやんだ16時過ぎにホテルを出てバスで二条城へ向かう。
二条城は入試頻出箇所ということもあり、前回の京都でも行こうと思ったのだが、あいにく年末年始は休止だったので改めてやってきた。
ところがこの二条城、7月と8月の火曜に二の丸御殿の観覧が休止となる。 繁忙期にも関わらずあえてこの時期に休止日を設定するとは信じがたいのだが、何としたことか明日がその休止日であった。 まさか休止日がこんな時期にあるとは思っておらず、本当は明日の朝行くつもりだったのに、ついてない。
その代わりではないが、7月から9月までは19時まで開いているので、夕方からでも観光ができるのがありがたい。 ちょっと時間帯は早いが、ある意味ナイトエンタメとも言えよう。
二条城は特に外国人客が多い。 城といっても天守閣などがあるわけではないのだが、二の丸御殿の書院風の造りが外国人の琴線に触れるのであろうか。 自分は訪れた記憶がなく、修学旅行とかで訪れてない限りは初訪問な気がする。
唐破風構造で装飾が華麗な唐門を抜けると、二の丸御殿が見えてくる。 思ったよりも質素な印象ではあるが、優雅で落ち着いた雰囲気がある。
あいにくこの二の丸御殿内は写真撮影ができず、大政奉還が行われた大広間をはじめとする広間を写真に収めることはできない。 大広間は大政奉還の絵図よりは狭い印象を受けたが、ここがあの場所かと思うと感慨深い。 娘もなんとなく印象に持ってくれたようなのでやれやれである。
が、雨上がりの夕方は気温こそ低いが、湿度が高くて歩き回るにはコンディションが悪かったなぁ。
あいにく時間がなかったので、二の丸庭園はパスして市バスで次の場所へ向かうことにする。
ギオンコーナーで伝統芸能を堪能
続いて向かったのは祇園、花見小路沿いにある弥栄会館で夜開かれている「ギオンコーナー」。
(終演後に撮影)
(終演後に撮影)
京都のナイトエンタメの代表格として最近特に話題に上ることの多いここギオンコーナーは、日本の7つの伝統芸能(茶道、筝、華道、雅楽、狂言、京舞、文楽)をわずか1時間で瞥見できることから、訪日外国人客に大人気のスポットである。
もっとも外国人専用ではないので日本人でももちろん見ることができる。 市バスが四条通の混雑でなかなか進まずに間に合うか心配だったのだが、なんとか18時の回に間に合う。
団体以外の予約はできないのだが、ちょうど開演時に満員になるくらいであった。
しかし、ホントに外国人だらけ。日本人は1割もいなかったと思う。 自分はギオンコーナーのHPにあった割引券を使おうと思ったのに、受付が処理方法わかってなかった(苦笑)そもそも、ここは外国人よりも日本人の方が入場料が高かったりする。
ここギオンコーナーの一番ありがたいところ、それは写真撮り放題なことである。 このSNS全盛のご時世、写真が撮れるというのはそれだけで母国に日本文化を伝えることができる大きな武器となるわけで、日本文化の代表格である京都でこのような英断を下しているのは素晴らしいことだと思う。
しかも、ギオンコーナーはほとんど日本人がいないので、スマホで撮影してもシャッター音が全く聞こえてこない!これも素晴らしいことだ。 日本にいるとほんとあのシャッター音ばかりで不快なのよね。 自分のiPhoneも香港製でシャッター音鳴らないので、ここぞとばかり写真や映像を撮らせてもらいました。
まずはステージ上手脇の茶道からスタート。
会場の中から2名お茶をすすることができるのだが、日本語アナウンスでは「遠隔の方を優先とします」と言うだけで参加者を募ってくれず、事実上外国人だけが参加できたりするのが面白い。
ステージでは筝、そして華道が披露される。 ひとつひとつは10分足らずと本当に触りだけしかやらないのだが、そもそも筝や華道は生で見たのは初めてなので、それはそれで興味深い。
続いて雅楽。これももちろん見たことない。笛の音がいにしえの時代の息吹を感じ、何とも言えない心地になる。
厳かな雰囲気から一転、狂言に入るとコミカルな空気が会場を覆う。 演じていたのは「棒縛り」。小学校かどこかであらすじは習った記憶があり、これは日本人であれば多くの人が知っている内容だと思う。
演者のユーモラスな演じ方に会場は笑いの渦に。オール日本語なのだけど、外国人にもわかるものなのね。
続いてはおそらく一番人気であろう京舞。一見さんお断りの祇園で舞妓さんの舞踊を見れる貴重な機会であり、多くの人が写真をおさめていた。 が、演じるのは一人だけなので、ちょっと寂しい感じがしたかな。
最後は人形浄瑠璃の文楽。 文楽は所詮あやつり人形でしょという意識しかなかったのだが、まるで人間が演じているかのような細やかな人形の所作にはうっとりした。
これで1時間の公演は終わり。 どれもこれも初めて見るものばかりで、かつ1時間という短時間なのが一緒にいた娘も退屈にもならないちょうど良い時間で、とても楽しかった。
わずか3150円(割引券利用で2800円)で見ることができるのもオトクだし。 これは外国人だけにものにするには勿体なさすぎる。日本人こそ、わが国の伝統芸能が何たるものなのか学ぶべく、ギオンコーナーに訪れるべきじゃないかなと思います。
19時の回はギリギリまで外で待たされるので、個人的には18時の回に早めに行くのが良い気がします。
おばんざいブッフェの夕食
時刻は19時過ぎ。鴨川ほとりの川床に明かりがともり、夜も更けてきた。 おなかすいたので、夕食と行きましょうかね。
今回は娘も一緒なので、普通の食事処はなかなか厳しいだろうけど、京都っぽいものを食べたいなと思って選んだものはこちら。
錦小路にあるおばん菜ブッフェ・ひなたやである。
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おばんざいは少量ずつ好きなものを食べられるし、フレッシュな野菜が多く食べられるので旅行中の野菜不足もカバーできる。 カレーやお肉など京都の薄味に飽きた人向けのメニューもいくつかあり、60分1800円とちょっと高めだが、気軽に食べられるのはありがたい存在だ。
そんなわけでちょっとヘルシー目におばんざいを選んでみた。 欠品がいくつかあったのは残念だったけど、美味しくいただいた。
時間はちょうど20時過ぎ、今日はまだ見たいところがもう一つあるので、急いで四条通へ向かい、市バスに乗り込む。
一旦娘をホテルに送り、自分ひとりでもう一度市バスに乗って向かった先は…。
二条城夜間ライトアップ
再び二条城である。
ちょうど15日まで、二条城夏季ライトアップが行われており、再度やってきた。 入場が21時までだったので急いで向かったのだが、なんとか駆け込みで間に合う。
昼も見た唐門は夜の息吹の中で鮮やかに輝き、より魅力を増しているように見えた。
今回の目玉ともいえる二の丸御殿のプロジェクションマッピング。 どこもかしこも派手派手しいプロジェクションマッピングをしておけばよいだろうという最近のご時世の中、ここは元の建物を上手く使っていて、またライトアップの一展示という位置づけも押しのなさが逆に印象を強めており、かつとても綺麗であった。
夕方はパスした二の丸庭園を見学。 涼しいこととライトアップが見事なこともあって、夜間拝観がやっているなら夜に来た方が良い気がした。
出口近くにはこのような風鈴の演出も。涼しさを感じる音色がまた素晴らしいね。
そんなわけで、時間ぎりぎりだったのでばたばたと巡った二条城夏季ライトアップであったが、とても楽しむことができた。
ただ…一番不満なのは、自分のように娘に大広間を見せたい人は夜だけじゃダメで入館料600円を昼と夜2度払わないといけないこと。 「二の丸御殿大広間」のプロジェクションマッピングと書いてあるのだが、実際は大広間の建物の外で行うので、大広間は見ることができないのである。 まあ仕方ないとはいえ、昼の券持ってる人は割引にするとかしてくれればよいのに。
そもそも、この二条城、割引が効くのは「地下鉄の1日券または2日券」だけで、「バス1日券」は割引対象外だったりする。 地下鉄東西線を使わせたいのだろうけど、市の交通機関が売る1日乗車券で割引が効く効かないを分けなくてもいいのに。
という京都市のお役所仕事だけがちと不満でありました。
ナイトエンタメ瞥見を終えて
そんなわけで夕方から22時頃まで夜の京都を歩き回ったのだが、率直な感想として時間が全然足らなかった。
夕食食べて、夜間拝観1個見たら夜終わっちゃいそうなのだが、ナイトエンタメってそんなに必要なのかなぁ。 そもそもレイトショー並みの演劇や、バーなどの飲み屋のことを指すのかもしれないが、飲み屋なら今でもあるしねぇ。
まあ、夜間拝観がないと逆に見るべきところが何もなくなっちゃうので、まずはギオンコーナー(正確には冬季のみ週末だけだが)のように通年で見ることができる施設がもっと増えるとまずはありがたいのかもしれない。
本当は翌日訪れる予定だった二条城を今日昼も夜も見ることができたので、明日はのんびり行こうかなと思います。
(つづく)