近鉄で西ノ京へ
難波からは、近鉄大阪線の特急で大和八木まで行って、橿原線に乗り継ぐつもりだったのだが、お好み焼き屋で順番待ちをしていたら予定していた電車に間に合わなかったので、やむなく近鉄奈良線でまっすぐ向かうことにする。
実は近鉄大阪線は布施から室生口大野までが未乗区間であり、橿原線も全く乗ったことなかったのだが、まあ、また次の機会ということで。
近鉄難波12:31発の急行奈良行に乗る。
この区間は何度も通っており、年末の旅行でも通ったので、正直面白みはないが、生駒トンネル手前、大阪平野を一望できる絶景は何度見ても楽しく、ついつい見入ってしまう。
13:04に大和西大寺に到着し、隣のホームで待つ橿原線の普通列車に乗り換える。
2駅で西ノ京駅に到着。日中は急行も特急も止まる主要駅であるが、こじんまりとした駅で人通りもわずかであった。
唐招提寺へ
西ノ京には薬師寺、唐招提寺という2つの世界遺産に指定された寺がある。 中でも鑑真が建立した唐招提寺は入試でも頻出の寺であり、自分としても一度訪れてみたかったところである。
薬師寺は西ノ京駅の目の前にあり、唐招提寺は北に徒歩10分ほどと、交通の便はとても良い。
細い道を北へ進む。並木が生い茂り、古き民家やカフェがところどころに並ぶ落ち着いた風情はいかにも門前町といった佇まいであるが…とにかく暑いっ! わずか10分足らずとはいえ、強烈な日差しが体を襲うのはしんどかった…。
ぶーぶー言う娘をなだめながら寺に到着。 南大門を過ぎると、塾の問題でもよく出てくる国宝の金堂が見えてきた。 白砂の参道の後ろに立つ荘厳な建物の構図がとても素晴らしい。幾多の困難を乗り越え日本へやってきた鑑真の思いが伝わってくるようだ。
にぎやかな東大寺などと違い、人も少なく、落ち着いて見学できるものまた良い。
背後に立つ講堂、そしてちょっと可愛らしい鐘楼を見学。 ここだけ昔に戻ったかのようなゆったりとした時が流れる気がした。
東側に位置する経蔵、そして宝蔵は典型的な高床造の校倉で、経蔵は昨年末に入り口まで行った正倉院よりも古い建物だという。
唐招提寺は蓮が有名だそうで、蓮の花のシーズンは過ぎてしまったが蓮がいくつも置かれていた。 が、何しろ暑くて蓮も大変そう…。
金堂の中はそれなりに風通しも良かったけど、何しろ暑くて外を巡るだけで汗だくだく。 本当は薬師寺にも寄りたかったのだが、さすがにしんどかったので、国宝の東塔が再来年まで改修で見れないことだし、観光を切り上げて京都に向かうことにした。
行きに歩いた道を駅に向かって戻るが、行きに通ったので勝手知ったる道な割には結構遠く感じた…。 徒歩10分だと、さすがにタクシーを使うほどでもない(そもそも駅にも寺にもタクシーはいなかった)し、バスの本数も少ないので歩くしかないが、駅に着いた頃にはさすがに頭がクラクラして、思わず駅の自販機で水を買わずにはいられなかった。
夏の京都や奈良の観光は命がけだなぁ…(泣)
ビスタカーで京都へ
西ノ京からは京都まで急行も走っているが、暑かったのでちょうど来た特急に乗ることにした。 特急料金はわずか510円なので、気軽に乗れてしまう。
西ノ京13:50発の京都行特急に乗るべく窓口で指定券を買うと、機械に「階上席」と表示され、「V」マークのついた指定券が出てきた。 ということは…。
予想通り、30000型「ビスタカー」(今の名前はビスタEXか)であった。 時刻表上はビスタカー表示はなかったのだが、表示外の列車にも走るのね。
現在の近鉄特急は「しまかぜ」「アーバンライナー」など特定の列車向けの車両がエース級であるが、1970年代生まれの自分の世代では近鉄特急のエースと言えばこの30000型ビスタ三世である。 あの頃から姿、特に塗装は大きく変わってしまったが、今でも心躍る存在なのは変わらない。
実は自分はこの歳になって初乗車(大昔、幼稚園児の時にほぼ同一のサニーカー12400型は乗ったことあるのだが…)なので、何気に嬉しかったりする。
窓口氏が二階席に指定してくれたので、特徴ある踊り場を通って席に着く。
JRになってから東日本を中心に多く出た二階建て車両と異なり、30000型は中央に出入り口があり、開放的な踊り場がある。 なので1階はコンパートメントしかなく、実質はハイデッカー車に近いのだが、そんなことはどうでも良く景色の良い2階席からの眺望を楽しむ。
車内は綺麗に更新されており、座席も最新型に引けを取らないふかふかの座り心地であった。 とにかく暑かったので、水をがぶのみしてようやく一息つく。
とはいえ、西大寺からは何度も乗ったことのある京都線に入り、わずか30分ちょっと、14:26に京都に到着である。
堂々たる二階建て車両はやはり存在感がある。短い時間ながら乗れてよかったな。
さて、まずはホテルに向かうことにしよう。