今回は出張なのでもともと観光の時間はないのだが、2日目にそれほど遅くない時間にホテルに入れたので、せっかくなので3日目の朝くらいと、どこかへ行くことにした。
調べてみると、春日大社が朝6時半から開いていて、しかも奈良は5時台からバスが走っているので食指が動くが、春日大社はバス停から相当歩くみたいなので、さすがに革靴じゃ無理かなと思い断念。
結局市内を少し散策することにして、朝5時に起床し出発。 我ながらどうして旅行中はしゃきっと起きれるんだろう。
朝の市街地は人通りもまばらでとても静かだ。
ゆるやかな坂を登っていき、路地に入ると…
古い町家が並ぶどこか懐かしい街並みが見えてきた。 ここは「奈良町」と呼ばれ、最近注目を浴びつつあるエリアらしく、宿泊したスーパーホテルの小冊子にたまたま特集が組まれていたのでこれは都合が良いと思いやってきた。
こうやって写真を見ると、古い家ばかりが保存された界隈のように見えるが、実際は人々の生活の場であり、中には新しいアパートとかもあったりする。 しかし変に保存されたぬくもりの感じられない街並みを見るよりは、背伸びのしないリアルな生活感が感じられてそれはそれで楽しい。
ちょうどやわらかい朝日が差してきて、幻想的な光景のようにも見える。
奈良町の真ん中にある「奈良町資料館」。ここは奈良町の保存を訴えてきた館長が無料で開いた個人施設だそうだ。こういう人たちの努力があって今の街並みがあるんですね。
残念ながら営業時間ではないが、軒下の大きな干し柿のような飾りが目につく。これは奈良町のシンボル的存在で、災難や病気を代わりに受けてくれる「身代わり申」のお守りだそうだ。ここだけでなくあちこちの家につり下がっていて風情がある。
道教に由来する庚申信仰の中心がこの「庚申堂」。小さなお堂だが無数の赤い申が印象的だ。
ここではコミュニティFM局も町家風。 他にもしゃれた店がそこかしこにあるようだが、もちろん早朝なのでどこもクローズ。 人通りの少ない街並みを独り占めするのも楽しいが、また日中来ると違った雰囲気なのだろう。
こんな木の看板が残るなんて、素晴らしい。
奈良町をおさめる中心的寺院である「元興寺」。ここは世界遺産にも指定されたそうだが、残念ながら開館時間ではないので、隙間から写真を撮るにとどめる。
短い時間ではあったが、なんとなく心が懐かしく感じる街並みをぶらぶら歩くだけで遠くに出掛けてきたなという感じがして、気分もすっかりリフレッシュした。
もっとも全て昔のような世界にタイムスリップしたような街並みを期待した人は少し期待外れかもしれないので、ここを主要な目的地とせず散策する場所と割り切るのがいいかもしれない。
さて当初はここまでで帰ろうと思ったが、地図を見ると少し歩けば五重塔で有名な興福寺にたどりつくので、革靴で長く歩いたので足が痛いががんばって行ってみることにしよう。
北上すると五重塔が見えてきました。 このあたりは老舗旅館などもあり、観光地奈良!という感じがしてそれはそれで旅先感がする嬉しい光景だ。
更に北上すると突如池が現れた。静かな水面が心地よい。 ここ、猿沢池からの五重塔が撮影ポイントだったらしいが、うっかり写真を撮り忘れ…残念。
さてここから52段の階段を上ると…。
何と鹿がお出迎え! 奈良公園ならあちこちいる鹿であるが、西端であるこの興福寺にもいるとは思わなかった。 これは嬉しい。
で、五重塔である。奈良の象徴とも言われるだけあって高さ50.1mの塔は重厚な力強い作りで目を見張る。 さすがにここはこの時間でも写真を撮る人が何人かいた。
東金堂、南円堂、ちょこっとしたサイズがちょっとカワイイ三重塔を瞥見。 どれもこれも細かいところまで作りこまれた建物が見事。 鐘を鳴らしてお祈りをする人がいて、よきBGMになっていた。
日中になれば賑やかになるだろう三条通を西へ進み、JR奈良駅へ。
旧奈良駅もこうしてみると迫力があるね。解体されずに再利用できたのは良かったと思う。
小一時間の散策ではあったが、出張前にここまでぶらぶらして観光名所も巡れたのはなかなか上出来だったのではないかと思う。 何度か大人になってから再訪した京都と違い、奈良はもしかしたら修学旅行以降かもしれず(乗り換えとかを含めて何度か来ているはずではあるのだが)非常に新鮮だった。
ということで今日も仕事をかんばろう!