写真を撮るのもいいが、やはり電車は乗るものである。
最後の日はやはり電車に乗るのがいい。
ということで、フレックスの特権を行使して、少し早めに退社し、さよなら乗車をすることにした。
目指すは伊東発東京行の528Mである。
普段は人の少ない先頭側に乗るのだが、今日はヲタどもがかなり散見されたので、真ん中の7号車に乗る。
車内は夕方の上りで結構通勤客も多かったが、このうち何人がもうこの電車が来ないことを知っているのだろうか…。
沿線ではあちこちで撮影している人を発見。しかし、老若男女、一般客もかなり多く見かけられたのはちょっと嬉しかった。単なる電車だとなかなかこうはないのであるが、50年も見慣れた湘南色の電車が、ステンレス車の帯に残るとはいえ、いなくなるというのは地元住民にとっても多少はインパクトのあることなのだろう。
さて、電車は国府津で前4両を増結し、15両になる。
ここ数ヶ月、増解結する運用に入ってなかったのであるが、最後の最後で入れてくるあたりマニア心をくすぐる出来事である。しかも、このために11両編成の東京方(15両だと普段は先頭に立たない)にもきちんとヘッドマークがついていた。
私もちょっと見に行ったのだが…すごい人。どこかのアイドルにでも出くわしたかのような感じであった。。。
国府津を発車した528Mは一路東京へ向かって快走する。
私は東海道線は余程のことがない限り113系を選んでいたので、この区間、113系以外の電車に乗ったことは数えるほどしかなかった。
近郊形電車の象徴としてちょっとした旅行気分にさせてくれる、慣れ親しんだモーター音が心地よく響き渡り、いつもの光景が続いていく。でもすれ違う電車はすでに113系はなく(この時点で、運用に入っている電車はこの編成しかなくなっていた)、一抹の寂しさを感じざるを得なかった。
大船からは横須賀線、横浜からは京浜東北線や京急と並び、大動脈の中、都心に向かって最後の走りを見せてくれた。東京の夜景をこの車両から眺めるのも、これで最後である。
定刻の20:00に、東京駅8番線に到着。さよなら乗車もおしまいである。
東京駅は予想していたがものすごい人であった。会社を早く抜けて上り方向から狙ったのは正解だった。
しかしながら、99年12月の横須賀線・総武快速線からの撤退のときはここまで激しくはなかったのだが…時代は懐古趣味にでもなっているのだろうか。
丸の内のビル群の下に113系がやってくるのも、これを入れてあと2回である。
列車は20:13発895M小田原行として出発する。普段どおりの通勤風景ではあったが、カメラの放列を浴びて列車は出発していった。私は9番線からビデオを撮りながら見送った。