岩泉線は元々廃止対象路線であったが、並行道路未整備ということで現在まで残されている。しかしその本数は限りなく少なく、全線を走る列車は1日に3往復しかない。ただ乗るだけなら3往復もあれば十分といえば十分だが、朝夕に偏り日中の運行がなく、しかも龍泉洞という観光地があるばかりに、今回のようにこれらを組み合わせて旅行するのは非常に難易度の高いところである(といっても、3往復しかないので答えは限られているが…)
ということで、龍泉洞の帰り、岩泉17:20発の列車に乗るべく駅へ向かう。町営バスは行きに乗ったのが龍泉洞を通る最終である。岩泉駅までは4kmくらいのはずで歩いても十分間に合う距離だが、龍泉洞見学で思いのほかくたびれたのでタクシーを呼ぶ。
町の中心部を抜け、小本川にかかる橋を渡ると正面に駅が見えてきた。駅前広場は広く、駅舎は堂々として大きいが、あたりは閑散としていた。まあ1日3本では仕方ない。
しかし今日は結局昼を食べてないので、空腹であるが、あたりに何もない。仕方なく橋を渡って一旦中心部へ戻るが、国道沿いは何も店がない。ここはゴーストタウンか?と思うが、1本脇に入った商店街にはそれなりの店があって、何とかパンなどを購入しほっと一息つくことができた。
JR東様式の時刻表が駅に掲げられていたが、これがこの駅の全てである。
駅内の広い待合室には、DQN学生がたむろしていたので、早々にホームへ行く。17:20発の列車は16:28着の折り返しである。折り返しがここまでのんびりしているあたり、この路線の放置プレイぶりが出ていると言えよう。
17:20発の列車はキハ52の単行である。非常に重い半自動ドアを開けて中に入る。
ぱらぱらと人が集まり、定刻に発車した。
岩泉線は、元々昼に通った小本まで延びる予定であり、岩泉は茂市からサミットを超えた先に位置している。そのため、列車は上り勾配をゆっくりと登っていく。このような中途半端な形態になっているため、当然ながら旅客流動自体少ないのである。
あたりは一面木々に包まれている。徐々に夕闇が迫ってきた。
ときどき駅に停車し、人を下ろしていく。乗ってくる人はいなかった。
岩手大川を過ぎるといよいよ何も見えなくなった。並行する国道340号線はセンターラインすらない。これでは当時のレベルでは代行バスも走れないと考えるのもやむをえないだろう。
やがて列車は長いトンネルに入った。
木をつないだだけの押角駅に停車。秘境駅としても有名だ。あたりには人家もほとんど見えない。
18:12に茂市駅に到着。山田線との接続駅だが駅前には何もなかった。
降りたのはわれわれ2名だけであった。
土曜とはいえ、さすがにこの状態では、公共交通機関としての役目を考え直さざるをえないだろう。
道が狭いとはいえ道路が通じているのだから、現代はミニバスも多数開発されているし、これでいいような気もする。
18:32発の山田線に乗るころには日はとっぷりと暮れていた。
宮古には18:53に到着。