マカオの古い街並みを歩くとすれば、昼も良いが夜も見逃せない。 淡い光でライトアップされ、日中と違って静寂に包まれた通りを歩くのは昼間では体験できない違った印象を持つだろう。 そんなわけでマカオの夜はとても楽しみであった。
淡い黄色が印象的な聖ドミニコ教会。 段々と暗くなっていく中、ライトアップされより輝きを増してきた。
ファション店が並ぶ白馬行を通り抜け、東へ向かう。
ラザロ地区と呼ばれる一体は、特に名所はないが、まるでヨーロッパの街角のように古い洋館が集まる地区である。 最近政府主導で芸術、文化の発信地とする計画が進められており、今最も注目されている場所と言っても過言ではない。 今回、ぜひ訪れてみたいところであった。
残念ながら小雨が降ってきたが、雨の小路を歩くのも悪くはない。
いかにも中国によくある古いビルが集まる道を進むと、突然クリーム色の上品な洋館が見えてきた。オレンジ色の街灯と、水滴に彩られたその気品溢れる風景は何とも言えない感じであった。
これまで辿ってきた香港の路地裏といった風景から…
南欧の世界へ。この全く異なる光景が同時に、そして違和感なく見られるのがマカオだ。 これより先は美しい建物の連続であった。
ラザロ地区はゆるやかな坂道も多く、石段やモザイク模様のカルサーダスが洋館の良いアクセントとなっていた。 店はほとんど空いておらず、人通りもまばらであったが、それがまた良かった。
良く見ると和洋折衷の建物も多く、洋館も中から聞こえてくるとテレビや人の声は広東語である。 ポルトガルや南欧に思いをはせ、そしてアジアの生活を感じる…。 何といえばいいのだろうか。摩訶不思議な空間だ。
とにかく写真を沢山撮ったので、ここに共有。
ラザロ地区の中心、聖ラザロ教会。16世紀に建てられたマカオで最も古い教会のひとつである。 ハンセン病施設の礼拝堂として建てられた教会は純白にライトアップされ、厳かな雰囲気であったが、優雅な屋根を中心とする建築様式はどこか女性的で優しい感じにあふれていた。
今回、自分はしばらく行ってないヨーロッパを感じたくてラザロ地区を訪れた。それはそれで十分ヨーロッパの香りを感じることはできたが、それよりもこのマカオという街の素晴らしさをより実感することができた。 こんな異なる世界を一気に体感できるところが他にどこにあるだろう。 長い歴史の中で全く違和感なく同じところで混ざり合う。 歴史というのは実に面白い。
中国らしい、古くゴミゴミしたビルが集まる小路を進む。 家族団らんの声が聞こえてきて生活観豊かだ。 その向こうにはグランドリスボアのライトアップ。 欲望の世界と人々の生活が隣り合わせ。 マカオはたくましい。
マカオではじめての庭園、南湾花園を通る。 マカオは公園がとても多く、ガジュマルを中心とした木々の青々さが心地よい。
さてこの先も夜のマカオを散策したいところだが、そろそろ帰国が近づいてきたのでみやげ物を買わないといけない。一旦散策は中断し、ホテルに戻ってから、タクシーに乗る。
マカオフィッシャーマンズワーフは、港の近くにできた一大テーマパーク。 ここならみやげ物も沢山売っているだろうと来た。 確かにいろいろあって、気に入った物もいくつかあって買うことができたが、一言でいうとまだまだかなあと。ま、マカオの買い物は地元の店で真に気に入ったものを買うというのが本来の楽しみ方なのであるが、一大観光地のようにいろいろなみやげを買う環境にはまだマカオは整ってないなと感じた。
そして様々な建物は、ここマカオではいかにもハリボテに見えてしまい、イマイチ魅力を感じない。 そんな理由からか、セナド広場あたりの賑わいと対照的に人影は少なく今後がちと心配になる。
買い物を済ませると大雨だった。 フィッシャーマンズワーフにはタクシーがいなかったので近くのホテルまで歩いてタクシーに乗る。
ここで夕食としよう。
せっかくのマカオなので、マカオ料理かポルトガル料理を食べたいところ。 先ほど訪れたラザロ地区にも近い水坑尾街にある坤記餐室は、ポルトガル料理の老舗である。 ビストロ風食堂と地球の歩き方に書いてあったのだが、入ってみるとそこらへんの中国料理の食堂と何ら代わりのない、本当にポルトガル料理出すの?って感じの庶民的な食堂であった。
オーナーの勧めでオックステールシチューを頼み、マカオ名物のイチジク茶も頼んでみた。 イチジク茶は甘すぎる感じはあったが、これまで脂っこいものばかり食べてきたのでこの甘みがカラダにはやさしい。 そしてシチューのボリューム!具沢山だが十分煮込まれていて柔らかい。そしてシンプルな薄味で美味しくいただくことができた。 マカオの家庭料理を体感できたようで嬉しい夕食であった。
再び夜のマカオを散策することにしたいが、段々足が痛くなってきた…。 今回は今まで以上に足に無理をかけるスケジュールだったな…。
聖ポール天主堂跡は白くライトアップされ、丘の上にそびえるその様は日中にもましてマカオのシンボルらしい存在感を感じた。
暗闇により一層黄色が映える聖ドミニコ教会を通り、まだまだ人の多いセナド広場へ戻ってきた。
ライトアップされた建物は夕方とはまた違った、よりエキゾチックな雰囲気。闇に浮かぶ歴史ある建物は本当に綺麗であった。
坂を上った大堂はセナド広場とまた雰囲気が違い、柔らかい光にステンドグラスが映える様はロマンティックの一言。こころなしかこのあたりはカップルが多かったように思う。
まだまだ歩いてみたいマカオの夜であったが、そろそろ足も限界に近づいてきたのでホテルへ帰ることにしよう。
ただし、マカオの夜でもうひとつ見ておかなければならないところがあった。 それは…
カジノのネオンはマカオのもう一つの現実。 今や世界一のカジノの街となったマカオ。原色ケバケバしいネオンはそれだけでおなかいっぱい。まさに欲望の世界。 中でもリスボアカジノのネオンは、これぞマカオ!という感じであった。 カジノは個人的には全く興味がない(金もない(笑))ので、外観だけ見て素通りする。
リスボアホテルの近くはマカオ随一の歓楽街。いろんなネオンが輝くが「押」というネオンがその極彩色っぷりで目立つ。これは質屋だそうだ。
そんな感じで、足を引きづりながらも何とかホテルへ到着。 長いけど充実した1日であった。 明日はもう帰国ですかー。