ジョグジャカルタ・アジスチプト空港からまずは世界遺産・プランバナン寺院へ向かうことにする。
空港からプランバナンまでは10キロもないほどと極めて近く、弾丸旅行者にはとても都合が良い。
もっとも、ジョグジャカルタは今年5月に開港した新空港に徐々に移転するらしいので、今後は行きづらくなるんだろうなぁ…。
トランスジョグジャでプランバナンへ
地下道で線路をくぐると、空港に隣接したマグウォ(Maguwo)駅に着く。
ここからは本数は少ないがジョグジャカルタやソロへ向けた列車が走っており、空港アクセスとしても使える。 地図を見るとプランバナン寺院の近くに駅があるのでうまく時間が合えば列車で行きたいなぁと思ったのだが…。
なんとプランバナン駅に行く列車は1日たった2本しかなかった。 次の列車(しかも終電!)は12:46発とまだ先だったので、鉄道で行くのは断念。
だからネットでいくら調べてもプランバナンに鉄道で行った記録が出なかったのか…しかしなんだかなぁ、30分毎くらいに走らせてもバチは当たらないのではと思うんだけど…。ということで、その先にあるトランスジョグジャの乗り場へ向かう。
トランスジョグジャは、ジョグジャカルタ市内を網羅する路線バスで、旅行者にも便利な存在だ。何よりどこまで乗っても3500ルピアと安いのもありがたい。
トランスジョグジャは鉄道と同じように改札で料金を払って停留所から乗車する仕組みになっている。 外国人からするとバスはなかなか乗りづらいなか、このようなわかりやすいシステムはありがたい。
ただ、待合室はエアコンがないので、風通しが悪くて暑かったのと、すべての系統がここを通るので、乗り間違いには注意しないとならないが、待合室のスタッフの人がどこ行きのバスかアナウンスしてくれるので不便さはない。
10分ほど待って1A系統のバスに乗り込む。 途中のバス停は無人なので車掌さんもいたが、待合室のスタッフと言い、低賃金で雇える(と思われる)インドネシアだからできるシステムだなぁと感じた。
エアコン完備なので涼しいが、とにかく飛ばす飛ばす!
10分ほどで終点に到着。プランバナン寺院へはここから10分ほど先にある。
ベチャに乗れという誘いを振り切り、人通りのほとんどない通りを歩くと、いよいよプランバナンだ。
ロロ・ジョングラン寺院へ
プランバナンはさすが世界遺産だけあって、団体バスがひっきりなしに入り、多くの人で賑わっていた。
外国人用入口へ行き、外国人向け入場料35万ルピアを支払う。
外国人向け価格があるのはもちろん知っていたが、ネットで調べた値段と違う。どうも最近また値上げしたみたいだ。 先ほどのバスが3500ルピアだったことを考えると、値段感覚がおかしくなるなぁ…。
プランバナンは遺跡公園として整備されている。 中心となるロロ・ジョングラン寺院は入り口からほど近い距離にあるが、北端のセウ寺院まではかなりの距離があるようだ。
炎天下の道を歩くことしばし、ロロ・ジョングラン寺院が見えてきました。
いやはや、写真で見るよりもスケールが大きい。そして装飾の細かさに目を見張る。
このロロ・ジョングラン寺院は、ヒンドゥー教の寺院。現在のジャワ島はイスラム教徒が大多数を占めるが、この寺院が創られた9世紀頃のこのあたりはヒンドゥー教の王朝が支配していたのだという。
ジャワ島の歴史を細かくは知らないけど、今となっては異教徒であるヒンドゥーの寺院が世界遺産として賑わうというのは興味深い。
まずは中央に位置するシヴァ堂へ向かう。塔の高さは47メートルもあり、間近で見るととても大きい!
巨大なカーラをはじめ、獅子像を中心に左右にレリーフを配した装飾は、見事と言うほかない。よくまあ屋外建築で現在までこの細かさが維持されていたものだと感服するばかりだ。
<ガネーシャ像>
<アガスティア像>
シヴァ堂には東西南北に側室があり、それぞれ像が祀られている。
が、正直側室は小さくて写真で撮らないと良く見えないし、人が多すぎて暑苦しくあんまりおもしろくはなかったかなぁ。 ドゥルガ像はロロ・ジョングラン姫の呪われた姿とかいう伝説の話は興味深いのだが。
寺院内は日陰となる場所がなく、外に出ると実に暑い! しかも、外はものすごく賑やかで、よくネットの旅行記にも出てくる「外国人にインタビューしてくる子供たち」に自分も突撃されてしまいましたわ…。
仕方がないのであれこれたどたどしい英語で答えていたのだが、先生が日本人か、京都は良いところだね、と仰られた。 そう、ここジョグジャカルタは京都みたいなところなんだよね。
シヴァ堂正面に立つ小堂には、シヴァ神の乗り物である聖牛ナンディの像が祀られている。 が…それよりも小さな子猫に目が行った!むっちゃかわいいが、こんなところでちゃんと生きていけるのかな…。
シヴァ堂の左右に並ぶヴィシュヌ堂、ブラフマー堂を眺めつつ、中苑の南側から全景を望む。 度重なる地震で倒壊した建物のガレキが生々しく並び、今でも修復作業は続いているそうだ。
小一時間のロロ・ジョングラン寺院探訪であったが、とにかく装飾の精細さには驚きであるが、人が多すぎてちょっと観光地化しすぎだなぁという気がした。その分綺麗なのは良いのだけど。
静寂のセウ寺院へ
せっかくなので、一番北のセウ寺院まで足を延ばしてみることにした。
乗り物も走っているようだが、お金がもったいないので歩いて移動。 ちょっと外れるだけで観光客は一気にいなくなった。 歩くこと10分ちょいで到着。
先ほどのロロ・ジョングラン寺院とよく似た造りだが、このセウ寺院は、仏教寺院だそうだ。 こんな近くにヒンドゥー教と仏教が混じり合うというのはとても興味深い。 入口の像が威圧感を感じさせる。
「セウ」というのは「千の」という意味らしいが、今はガレキの山に覆われている。 しかし、何よりも先ほどのロロ・ジョングラン寺院とは趣が異なるのは、観光客がほとんどいないこと。 静寂の世界が、なんとも神聖さをより増しているのがとても印象深く、とても見応えがあった。 セウ寺院まで足を伸ばして本当に良かったと思う。
ロロ・ジョングラン寺院だけではプランバナンの本来の姿は感じられない気がするので、時間に余裕があればぜひセウ寺院まで行ってほしいと思う。
さて、一通り見学も終わったので出ることにしよう。
プランバナン遺跡群の出口は入口とは別にあり、お土産屋を通らないと出れない。
幸い客引きも大していなかったので何も買わずに出たが、それよりも店が密集していて風通しが悪く、非常に気分が悪かった。 あんなところでお土産買う人なんかいるのかなぁ…。
さて、続いてはもう一つの世界遺産であり今回の旅の目的地であるボロブドゥールへ向かうことにしよう。
(つづく)